私的メモ

自分用の読書録です。ネタバレします。ネタバレしかしません。でもあらすじは書かないからネタバレしないかもしれません。

『空想クラブ』逸木裕

以下ネタバレしています。多分。。。
ネタバレを気にせず書くので。
ネタバレ踏みたくない人読まないでください。。。
切実な想い。
〔ココマデ定型文〕

空想が見えるファンタジー
空想の描写も私はすんなり受け入れられて、割と好き。
何より真夜と吉見の掛け合いが好き。
真夜の簡潔だけど温かみのある話し方が好きなのかも、しれない。

めいめいが好きなことをしていて、でもまとまるときは一致団結して、全員で遊ぶ。
要は気が合う、そんな集まり。空想クラブ。

真夜ともっと話しておけばよかったという悔しさ。
〈子供〉が見つかったら真夜が“死んでしまう”かもしれないことへの葛藤。

それでもぼくは、調査を続けるべきなんだろうか。
真夜を殺す可能性がある、調査を――。

そして真夜にとっての、本当の死への恐怖。

「私も、そんな酷なことは頼めない。私を殺すための調査なんて」
「なんで……どうしてそこまでして〈子供〉を見つけたいの? だって、死ぬかもしれないのに……」
「ここに取り残されるより、マシ」

どれも奇麗に描かれていて、好き。

最後の5人での空想も、綺麗。

ただ、この終わり方は、私は好きではないかな。
真夜はこれからずっと、永遠に〈空想次元〉を漂い続ける。
重なった並行世界を漂い続けるという終わり方はよくある話ではあるけれども、
どうも私はそういう終わり方が好きじゃない。
好きな世界を好きに見えるから幸せなのかもしれないけれど、
人間はそんなに強くないんじゃないかなとも思う。
そうしてその事実を、残された四人が受け止めなければならないということも。
結局彼らはこれからずっと真夜という〈空想次元〉に取り残され続けるんだろうな。
私はそれが幸せだとは思えない。
どれだけ苦しくても、真夜を独りにするという罪悪感から逃れるためにはその〈空想次元〉に居続けるしか彼らにはない。
って考えてしまうなあ。
宮おじぃーは

そこかしこに死んだ人がいて、彼らと一緒に暮らしてる

って言っていたけれど、そういう描写も欲しかったな。
SFは嫌いだけどファンタジーは好き。そんな感じ?

 


「でも、私は知りたい。何も知らないままで居続けるより、傷ついても真実を望む人間でありたい」
「私は本当は、ただ死ぬだけだったはず。でも、真実を知ることができる、ささやかな可能性が与えられたんだから」
 ――久坂真夜

「私たちは、この世界のことを何も知らない。なら、懸けてみようよ。ほんのささやかでも、可能性が残っているなら」
 ――久坂真夜

「同じ本をずっと読んでたら飽きるし、すごい絵だって何時間も見続けられない。でも、夜空だけはいつまでも見ていられる。なんでだろうね」
「私の仮説はね、夜空は、めちゃくちゃ綺麗だから、だと思う」
 ――久坂真夜

 

2021.11.17 読了