私的メモ

自分用の読書録です。ネタバレします。ネタバレしかしません。でもあらすじは書かないからネタバレしないかもしれません。

『消失グラデーション』長沢樹

以下ネタバレしています。多分。。。
ネタバレを気にせず書くので。
ネタバレ踏みたくない人読まないでください。。。
切実な想い。
〔ココマデ定型文〕

苦い感情の青春小説としたらすごくすき。
解決編に入るまではすき。
ミステリじゃなければすごく、すき。
ミステリじゃなければなー。

メインの男女ふたりとも性別誤認ていうのは上手いなあと思いました。
同性を片方だけとかにすると地の文が不自然になりかねないし。
ただ、一人称が「僕」で実は女性でしたはなー。
そら男と思うに決まってるじゃん!ずるくない!?ってなる。
アンフェアに感じるなぁ。

私は叙述トリックが嫌いだなと、わかりました。
今まで読んで自分の中で見守ってきたお話が否定されるような喪失感がすごくやだなあと。
あのときキュンときたシーンは実は違ったんでしょ?ってなる。

やっぱり謎のポイントは
何故落とされたのか?、何故消えたのか?、どうやって消えたのか?、何故脱がされていたのか?etc.
どうして落とす必要があったのかのホワイダニットが……
バスケットボールをなぜ投げる必要があったのかとか、結構引っ張った割に、理由それ??ってなる。
弱すぎでしょ。
何故消えたのかやどうやっては性別誤認と、このお話の主題ともなる性的マイノリティ。
椎名が脱がされていたことに対する姉の過保護等、確かに女性ととれるポイントもいくつかありましたが、   一人称がなあ。
樋口の「私」はまあいいとして、女性が「僕」はなあ。
網川が不審者の「ヒカル君」に助けを求めたのは、まあいいとしましょう。
リストカットするような感じだし。そういう人なら見ず知らずの不審者に助けを求めるはなんか納得してしまう。(それもおかしい?)

度々挿入される「ヒカル君」視点の部分も、なんか弱いかな。回収が弱い気がする…… 「ヒカル君」とか、ジョージとか、謎をしっかり作った割に、収束がちょっとおざなりじゃなかろうかと。

リストカットの心理の描写はすごくいいなあってなりました。 リストカットしてるからまだ生きたいと思ってる。生きるために切る。

この作品で巧いなあと思ったのは、カッターナイフの所在での謎解きと、男女ペアを性別誤認させて相互に誤認を扶助していたところ、かな。 性的マイノリティ云々はなんとも思わないけど、それを抜きにして青春小説としてはすっごくすき。 ミステリじゃなければなあ。


「だから、切るしかなかった。切って生きるしかなかったの」 ――樋口真由

2021.10.24 読了