私的メモ

自分用の読書録です。ネタバレします。ネタバレしかしません。でもあらすじは書かないからネタバレしないかもしれません。

『笑わない数学者』森博嗣

以下ネタバレしています。多分。。。
ネタバレを気にせず書くので。
ネタバレ踏みたくない人読まないでください。。。
切実な想い。
〔ココマデ定型文〕

解かせるためのトリック。
あんな建物、そりゃあ回したくなるし、回しちゃったらわかっちゃう。
読者はすぐに解けるのに何故探偵(犀川)は解けないのだろうという状態が著者の仕組んだトリックで、それはこの本の主題でもある“内と外”、読者が著者に誘導されて解かされている。読者と探偵の役割が入れ替わっている。解けたんじゃないく、解かせたんだぞと。ある意味それは著者の勝ち逃げのようなもので。

『神の最大のトリック』はミステリに神(探偵)がいると信じ込まされていること、なのだろうなあと。ある種のアンチミステリなのかな。

笑わない数学者が誰なのか、白骨死体が天王寺翔蔵博士だというロジックはネットに散見されてまあ言いたいことは理解できるけど、なんだか納得したくない。もしそのままならあまりに解りやすすぎるというか、もっとこう、不定で在ると言わざるを得ない、でも定義できる命題であって欲しいなと思う。
しかしそういう意味であれば読者の定義したものが答えだということもできるけど、結局著者の逃げに見えてしまうなあ。

なんだか、やりたいことはいいけれど、もう一押しかなあなんて。
偉そうね。

「何を考えていらっしゃったの? 先生」
「そうね……。やっぱり、オリオン像のことかな……。西之園君は?」
「そうね。先生のことかな……」
 ――犀川創平,西之園萌絵

 

2021.10.9 読了