私的メモ

自分用の読書録です。ネタバレします。ネタバレしかしません。でもあらすじは書かないからネタバレしないかもしれません。

『ハリー・ポッターと賢者の石』J.K.ローリング

以下ネタバレしています。多分。。。
ネタバレを気にせず書くので。
ネタバレ踏みたくない人読まないでください。。。
切実な想い。
〔ココマデ定型文〕

映画で観た時、いろいろ詰め込みすぎて、速足過ぎて、ちょっとなあと
意味わかんないなあってなってたんですけど
きっとこれはあの分厚い小説を無理やり2時間半に収めようとしたからであって、きっと小説なら……小説なら……
そんな思いを抱えて幾年、ついにやっと読みましたが、
ただ長くなっただけでした

世界観を出す為か、あの“世界観を”読みたい人からしたら楽しいのかもしれないけれど
それだと“ストーリー”じゃなくなっちゃうから
そうなると、いろいろしすぎかなあって
もっとそれぞれ深く書けたと思うし、まあ児童書と捉えると、そうなのか、な、
1巻目だからあんな感じで、秘密の部屋とかからは変わるのでしょうか
ただなんとも、次を読もうと思えない、
結局映画もその後見ていないし
なんかそんなかんじー

ハーマイオニーが可愛い

2023.2.26 読了

『ネバーランド』恩田陸

以下ネタバレしています。多分。。。
ネタバレを気にせず書くので。
ネタバレ踏みたくない人読まないでください。。。
切実な想い。
〔ココマデ定型文〕

男子高校生4人の短くとも濃密な冬休みのお話。
全員が過去に闇を抱えて、そのことを共有することで、より彼らの絆は深まっていく。
絆と呼ぶこともおこがましいような、つながり。
なんとなく彼らのそれは“絆”とは呼びたくないな。

統という存在のバランス感覚がこのお話をすごく支えているなあと。
外側にいるようでしっかり彼らと共にいる。
おどけているようで、その裏にはしっかり闇がある。

松籟館という狭い舞台をホームに話が進むのに、すごく奥行きのある深い作品。
重くて死にたくなるような話を爽やかに描ききっている、気がする。

女性が描く男子高校生だなあというのもなんか思う。綺麗すぎ。
男子高校生はもっと馬鹿でつまらない。

光浩の立ち回りはすごく可哀相。
全てを受け止めてくれそうだから周りはみんな彼に甘えてしまう。だからこそ両親も、友人も、皆彼には誠実。
繕ったりしない。
父だから、母だから、友だからという役割を演じることなく、その一人一人個人のままを、
全部受け止めさせられる。
すごく不幸な役回り。強く生きて欲しい。

2021.10.24 読了

『本日は、お日柄もよく』原田マハ

以下ネタバレしています。多分。。。
ネタバレを気にせず書くので。
ネタバレ踏みたくない人読まないでください。。。
切実な想い。
〔ココマデ定型文〕

読んでよかった!と素直に思った本。
ただのOLだった主人公がとあるスピーチに心を掴まれたことをきっかけにスピーチライターとなるお話。
スピーチの極意が普通に参考になる。
「静」の大切さ。
言葉ってすごいなって改めて思えます。
ただそう思わせる小説を書こうと思ったら感動的なスピーチを登場人物に話させないといけないわけで、よく書き上げたなあと。

後半は政治や選挙を中心に話がすすむ。
恋愛などで読みやすくなってるのかも知れないけどちょっとチープだったかなあと。
友人の結婚式のスピーチで始まり、主人公の結婚式のスピーチで終わる。
いらんなあ、と。
ワダカマとの恋愛展開も、来るだろうなと思って、やっぱり来たかって、なんだか少女漫画のよう。
全体としてどうしてもストーリーが陳腐な感じ。
心情もどこかありきたりなのかもしれない。
この展開、いらないなあ、といちいち思う。
流産からの流れも、まあ、うん。
そういう読み方で言うとこの作品は特筆するほどじゃないんじゃないかなあ。
それでも私はこの作品、好きだなあ。
お仕事のお話が単純に好きなだけなのかもしれない。
政治のお話も。ドラマの『CHANGE』も好きだったし。

スピーチの極意 十箇条
一、スピーチの目指すところを明確にすること。
二、エピソード、具体例を盛り込んだ原稿を作り、全文暗記すること。
三、力を抜き、心静かに平常心で臨むこと。
四、タイムキーパーを立てること。
五、トップバッターとして登場するのは極力避けること。
六、聴衆が静かになるのを待って始めること。
七、しっかりと前を向き、右左を向いて、会場全体を見渡しながら語りかけること。
八、言葉はゆっくり、声は腹から出すこと。
九、導入部は静かに、徐々に盛り上げ、感動的にしめくくること。
十、最後まで、決して泣かないこと。


「うん。いいほうに変わるなら、変わるほうがいい」
 ――千華

「握手に勝るスピーチを書く。それがおれの使命だ。そして君の」
 ――ワダカマ

なんだろう、この気持ち。何かに似てる。
ああ、そうだ――誰かを好きになったとき、恋してしまった瞬間に似てるんだ。
 ――二ノ宮こと葉

2021.11.9 読了

『空想クラブ』逸木裕

以下ネタバレしています。多分。。。
ネタバレを気にせず書くので。
ネタバレ踏みたくない人読まないでください。。。
切実な想い。
〔ココマデ定型文〕

空想が見えるファンタジー
空想の描写も私はすんなり受け入れられて、割と好き。
何より真夜と吉見の掛け合いが好き。
真夜の簡潔だけど温かみのある話し方が好きなのかも、しれない。

めいめいが好きなことをしていて、でもまとまるときは一致団結して、全員で遊ぶ。
要は気が合う、そんな集まり。空想クラブ。

真夜ともっと話しておけばよかったという悔しさ。
〈子供〉が見つかったら真夜が“死んでしまう”かもしれないことへの葛藤。

それでもぼくは、調査を続けるべきなんだろうか。
真夜を殺す可能性がある、調査を――。

そして真夜にとっての、本当の死への恐怖。

「私も、そんな酷なことは頼めない。私を殺すための調査なんて」
「なんで……どうしてそこまでして〈子供〉を見つけたいの? だって、死ぬかもしれないのに……」
「ここに取り残されるより、マシ」

どれも奇麗に描かれていて、好き。

最後の5人での空想も、綺麗。

ただ、この終わり方は、私は好きではないかな。
真夜はこれからずっと、永遠に〈空想次元〉を漂い続ける。
重なった並行世界を漂い続けるという終わり方はよくある話ではあるけれども、
どうも私はそういう終わり方が好きじゃない。
好きな世界を好きに見えるから幸せなのかもしれないけれど、
人間はそんなに強くないんじゃないかなとも思う。
そうしてその事実を、残された四人が受け止めなければならないということも。
結局彼らはこれからずっと真夜という〈空想次元〉に取り残され続けるんだろうな。
私はそれが幸せだとは思えない。
どれだけ苦しくても、真夜を独りにするという罪悪感から逃れるためにはその〈空想次元〉に居続けるしか彼らにはない。
って考えてしまうなあ。
宮おじぃーは

そこかしこに死んだ人がいて、彼らと一緒に暮らしてる

って言っていたけれど、そういう描写も欲しかったな。
SFは嫌いだけどファンタジーは好き。そんな感じ?

 


「でも、私は知りたい。何も知らないままで居続けるより、傷ついても真実を望む人間でありたい」
「私は本当は、ただ死ぬだけだったはず。でも、真実を知ることができる、ささやかな可能性が与えられたんだから」
 ――久坂真夜

「私たちは、この世界のことを何も知らない。なら、懸けてみようよ。ほんのささやかでも、可能性が残っているなら」
 ――久坂真夜

「同じ本をずっと読んでたら飽きるし、すごい絵だって何時間も見続けられない。でも、夜空だけはいつまでも見ていられる。なんでだろうね」
「私の仮説はね、夜空は、めちゃくちゃ綺麗だから、だと思う」
 ――久坂真夜

 

2021.11.17 読了

『消失グラデーション』長沢樹

以下ネタバレしています。多分。。。
ネタバレを気にせず書くので。
ネタバレ踏みたくない人読まないでください。。。
切実な想い。
〔ココマデ定型文〕

苦い感情の青春小説としたらすごくすき。
解決編に入るまではすき。
ミステリじゃなければすごく、すき。
ミステリじゃなければなー。

メインの男女ふたりとも性別誤認ていうのは上手いなあと思いました。
同性を片方だけとかにすると地の文が不自然になりかねないし。
ただ、一人称が「僕」で実は女性でしたはなー。
そら男と思うに決まってるじゃん!ずるくない!?ってなる。
アンフェアに感じるなぁ。

私は叙述トリックが嫌いだなと、わかりました。
今まで読んで自分の中で見守ってきたお話が否定されるような喪失感がすごくやだなあと。
あのときキュンときたシーンは実は違ったんでしょ?ってなる。

やっぱり謎のポイントは
何故落とされたのか?、何故消えたのか?、どうやって消えたのか?、何故脱がされていたのか?etc.
どうして落とす必要があったのかのホワイダニットが……
バスケットボールをなぜ投げる必要があったのかとか、結構引っ張った割に、理由それ??ってなる。
弱すぎでしょ。
何故消えたのかやどうやっては性別誤認と、このお話の主題ともなる性的マイノリティ。
椎名が脱がされていたことに対する姉の過保護等、確かに女性ととれるポイントもいくつかありましたが、   一人称がなあ。
樋口の「私」はまあいいとして、女性が「僕」はなあ。
網川が不審者の「ヒカル君」に助けを求めたのは、まあいいとしましょう。
リストカットするような感じだし。そういう人なら見ず知らずの不審者に助けを求めるはなんか納得してしまう。(それもおかしい?)

度々挿入される「ヒカル君」視点の部分も、なんか弱いかな。回収が弱い気がする…… 「ヒカル君」とか、ジョージとか、謎をしっかり作った割に、収束がちょっとおざなりじゃなかろうかと。

リストカットの心理の描写はすごくいいなあってなりました。 リストカットしてるからまだ生きたいと思ってる。生きるために切る。

この作品で巧いなあと思ったのは、カッターナイフの所在での謎解きと、男女ペアを性別誤認させて相互に誤認を扶助していたところ、かな。 性的マイノリティ云々はなんとも思わないけど、それを抜きにして青春小説としてはすっごくすき。 ミステリじゃなければなあ。


「だから、切るしかなかった。切って生きるしかなかったの」 ――樋口真由

2021.10.24 読了

『笑わない数学者』森博嗣

以下ネタバレしています。多分。。。
ネタバレを気にせず書くので。
ネタバレ踏みたくない人読まないでください。。。
切実な想い。
〔ココマデ定型文〕

解かせるためのトリック。
あんな建物、そりゃあ回したくなるし、回しちゃったらわかっちゃう。
読者はすぐに解けるのに何故探偵(犀川)は解けないのだろうという状態が著者の仕組んだトリックで、それはこの本の主題でもある“内と外”、読者が著者に誘導されて解かされている。読者と探偵の役割が入れ替わっている。解けたんじゃないく、解かせたんだぞと。ある意味それは著者の勝ち逃げのようなもので。

『神の最大のトリック』はミステリに神(探偵)がいると信じ込まされていること、なのだろうなあと。ある種のアンチミステリなのかな。

笑わない数学者が誰なのか、白骨死体が天王寺翔蔵博士だというロジックはネットに散見されてまあ言いたいことは理解できるけど、なんだか納得したくない。もしそのままならあまりに解りやすすぎるというか、もっとこう、不定で在ると言わざるを得ない、でも定義できる命題であって欲しいなと思う。
しかしそういう意味であれば読者の定義したものが答えだということもできるけど、結局著者の逃げに見えてしまうなあ。

なんだか、やりたいことはいいけれど、もう一押しかなあなんて。
偉そうね。

「何を考えていらっしゃったの? 先生」
「そうね……。やっぱり、オリオン像のことかな……。西之園君は?」
「そうね。先生のことかな……」
 ――犀川創平,西之園萌絵

 

2021.10.9 読了

『詩的私的ジャック』森博嗣

以下ネタバレしています。多分。。。
ネタバレを気にせず書くので。
ネタバレ踏みたくない人読まないでください。。。
切実な想い。
〔ココマデ定型文〕

数年前に『冷たい密室と博士たち』で挫折してS&Mシリーズ読んでなかったけど、何故だか手元にあったのですっ飛ばしてこちらを読了。

このシリーズなのか、この作品なのか、この作家なのかわからないが、ミステリである以前に根本がキャラクター小説なのだろうなあと。ミステリとして評価するとなんともとなったけど、キャラクターはすごく良く描けてて、萌絵がかわゆ。

と思っていたらそのように考察してくださっている記事がありました。有難し。

「キャラクター小説」というイノベーション京極夏彦森博嗣仲俣暁生|monokaki―小説の書き方、小説のコツ/書きたい気持ちに火がつく。
https://monokaki.ink/n/n74f73c6bc74f

新本格」の第二世代ともいうべき京極・森が与えた衝撃は、そもそも自意識を抱えた「人間を描く」という発想が存在せず、はじめからすべてがキャラクターとして造形されていたことにあった。

なんかはなるほどなあと。
現代では青春ミステリみたいなジャンルもあるけれど、当時は違ったのかね。

禅問答のような、違うかな?言葉のラリーはすごく心地が良い。思考の過程をすっ飛ばしたようなやり取り。普段そんな会話をしながらも

内容はちゃんと伝えないとね。それが、言葉の役目だから ――犀川創平

とか言っちゃう。誰が言ってるんやと。

言葉の無駄を減らして意味のなさげ会話を紡ぐ、そういったところはこの作家は“天才”の描き方が上手いと言うか、天才っぽさをすごく感じれる。
新しいノートで書き損じたら破り取りたくなるというのはすごく共感。 犯人は綺麗なイーコールを求めただけ、と。
この私的を詩的と表現してよいものか。

 

冷たい密室と博士たち』が合わなかっただけで、この作家さん、実は好みに合ってるのかもなあ。

 

「私……」「明後日までは、とても待てない」
 ――西之園萌絵

 

2021.9.16 読了